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【民法総則】制限行為能力者制度とそれによる取消②

今回は制限行為能力者制度についてのまとめの続きになります。

 

前回の記事では主に①未成年者についてと②成年被後見人について書ています。

 

今回は、前回書ききれなかった③被保佐人と➃被補助人についてまとめていきたいと思います。

 

 

⇓前回の記事です。

rin7010829.hatenablog.com

 

被保佐人

被保佐人とは、民法11条に「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」と規定されていて、成年被後見人と同様に、「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。」とされています。

保佐開始の審判を受けたものは民法12条より保佐人を付すこることが求められます。

 

被保佐人には、原則的に本人が法律行為を行うことを認めていて、しかし、事理弁識能力が著しく不十分であるために一定の重要行為については保佐人の同意を必要としています。

そして、その同意なしに被保佐人が重要行為を行ったときには取消が認められます。

 

また、民法876条の4により家庭裁判所は申請によって特定の行為につき、被保佐人が同意をしている場合に、保佐人に代理権を付与する審査をすることもできます。

 

そして、保佐人の同意が必要とされる一定の重要な行為については、10の行為が民法13条1項に列挙されています。

それに加えて、2項では、家庭裁判所は保佐人や補佐監督人の請求により、前項に掲げる行為以外の行為をする場合にも保佐人の同意が必要であると審判をすることができます。

 

よって、13条1項に掲げられる行為と2項により家庭裁判所に同意が必要と審判された行為を被保佐人が行う時には、保佐人の同意が必要となり、それがない場合にはその行為は取り消すことができます。

 

そして13条3項では、保佐人の同意が必要となる行為をするにあたって、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときには、家庭裁判所被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができるとされています。

 

取消権者は民法120条1項より被保佐人と保佐人が該当します。

 

取消権者については、保佐人と被保佐人であり、参考文献(後述)によると「被保佐人の意思に反して保佐人が取消をすることができる」そうです。

 

また、保佐人は民法124条3項によって追認をすることもでき、一方で被保佐人は保佐人の同意なしには追認は出来ないとされています。

 

これらは、保佐人の同意を求める13条の趣旨に沿っているような気がしました。

 

 

➃被補助人

被補助人とは、民法15条1項に「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者」と規定されていて、他の制限行為能力者同様に「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。」とされています。

しかし、成人被後見人被保佐人と大きく異なることは、「本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには本人の同意がなければならない」とされていることです。(15条2項)

 

被補助人は被保佐人よりもさらに行為能力の制限が縮小され、取消ができる範囲も狭くなっています。

 

被補助人の行為で、補助人の同意が必要となるものは民法17条に規定されています。

被保佐人の場合のように保佐人の同意を必要とする行為が列挙されているわけではなく、17条1項本文では、「家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。」として、ここから家庭裁判所が申請により補助人の同意を必要とすると審判した行為のみに補助人の同意が必要となることがわかります。

そして、但書では「その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為」を第十三条第一項に規定する行為の一部に限定しています。

 

そして、17条2項では、この審判を本人以外の者がする場合には請求するには本人の同意が必要となることが規定されています。

 

これは、行為能力の制限が他の制限行為能力者に比べて小さく、本人の意思が重要視されているように感じました。

 

17条3項では、補助人の同意が必要となる行為をするにあたって、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときには、家庭裁判所は被補助人の請求により、保補助の同意に代わる許可を与えることができるとされています。

 

それ以外の場合に、補助人の同意を得なければならない行為を、被補助人が同意を得ずに行った場合には、この行為は取り消すことができます。(民法17条4項)

 

 

ではその取消権者が誰になるのかというと、例のごとく民法120条1項より、被補助人と補助人を挙げることができます。

 

被補助人の意思に反しても補助人が取消をすることができ、また、補助人も追認をすることが出来きる点で、保佐の制度と共通しています。

 

以上が被補助人についての簡単なまとめになります。

 

 

 

 

2回分の記事にわたって、未成年者、成年被後見人被保佐人、被補助人についてと、それぞれが法律行為を取消できる場合についてまとめました。

 

制限行為能力者制度は、本人の行為能力を制限し、同意を必要とすることで適切な法律行為の実現をはかり、その同意がない場合には取消を可能にすることで本人を保護することができる制度であるということが分かりました。

 

成年被後見人被保佐人、被補助人は事理弁識能力の違いで区別されていますが、それぞれの能力から、それぞれが出来ること、保護するべき範囲を分類することで、円滑な法律行為が行われるのと同時に適正な保護が実現されているのだろうかと感じました。

 

長くなってしまったので、今回はここまでにします!

 

ありがとうございました。

 

 

 

参考文献

平野裕之「コア・テキスト民法民法総則(第2版)」新世社、2011年