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【民法総則】制限行為能力者制度とそれによる取消①

今回は、法律行為の取消が認められる場合で、特に制限行為能力者制度による取消についてまとめたいと思います!

 

まず、前提としてですが、民法上当然に前提とされている契約拘束力の原則というものがあります。

 

これは簡単に言うと、当事者の自由な意思決定によって行った契約には責任を持つべきであるという考え方になります。これは相手方の信頼と取引の安全性を保護することを目的とした考えです。

 

しかし、例外としてこの原則を適用せずに、一方当事者を保護する場合があります。

それが制限行為能力者による契約、錯誤による契約、詐欺による契約、強迫による契約です。

 

この中でも今回は、制限行為能力者による契約とその取消についてです。

 

制限行為能力者とは、判断能力に欠ける者であり、未成年者、成年被後見人被保佐人、被補助人の4つに分類されます。

 

それぞれについて要件が異なり、また、取消が認められる行為も異なってきます。

 

以下ではそれぞれについて見ていきたいと思います。

 

①未成年者

未成年者とは民法4条に規定する「成年」ではない者(2018年の民法改正により2022年4月から成年は18歳となる)です。

民法5条1項本文では、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」と規定しており、未成年者が法律行為を行うためには、法定代理人(通常は親権者、保護者)の同意を必要とすることを定めています。

 

そして、5条2項では、前項の規定に反する行為、つまり、未成年者が法定代理人同意を得ずに行った行為は取り消すことができるとしています。

 

では、その取消権者はというと、民法120条1項に規定されており、「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者他の制限行為能力者法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。」とされています。

つまり、未成年者本人とその法定代理人、取消権を相続した相続人が取消権者であることが分かります。

 

ここで定められる法定代理人は、未成年者の取消権を代理公使するのではなく、監督者という地位から固有の取消権が認められると考えられているそうです。

 

また、未成年者は法律行為を行う時には法定代理人の同意が必要となるのが原則ですが、例外として、同意がなくてもその行為が有効となる場合があります。

 

ひとつは、民法5条1項但書にある「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」です。これは未成年者に不利益がなく、取消を認める必要がないためです。

 

また、5条3項では、「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。」と規定されています。

 

前段では、法定代理人が目的を定めていたときに、未成年者がその目的の範囲内で処分した場合には、法定代理人の同意がなくてもその行為は有効となり、取り消すことは出来ません。

 

後段で規定するように、目的を定めていなくても、法定代理人による包括的な同意が認められ、その範囲内ならば未成年者の処分は有効であり、取り消すことは出来ません。

 

民法6条1項が規定するように、「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有」し、営業に関する限り法定代理人の同意なしに有効な法律行為を行うことができます。

しかし、2項では「未成年者がその営業に堪えることができない事由があるとき」は、法定代理人はその許可を取り消し、又はこれを制限することができるとされており、営業についての同意の撤回や範囲の制限を行うことが認められています。

 

長くなってしまいましたが、異常が未成年者の行為能力と取消についてです。

 

成年被後見人

成年被後見人とは、民法7条に「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と規定されており、「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる」としています。

 

成年被後見人とされるには、家庭裁判所による後見開始の審判を受けることが必要で、条文では家庭裁判所の任意で決められるようにもとらえられますが、通説では審判を受けるための要件が満たされる場合には必ず開始を認める審判をしなければならないとされています。

 

成年後見人には、法定代理人の同意があったからと言って、本人に契約をさせるのは適切ではなく、民法9条本文では、「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」とだけ規定し、成年被後見人が行った法律行為を法定代理人の同意の有無にかかわらず取り消すことができることを認めています。

 

しかし、例外として9条但書では、「日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない」とし、成年後見人の単独での法律行為(法定代理人の同意の有無に関係なく)を認めています。

 

取消権者には、未成年者の場合と同じく、民法120条より、成年被後見人本人と成年後見人が当たります。ただし、成年被後見人が取消をするには、意思能力があることが求められます。

 

成年被後見人には、その状態を鑑みて未成年者よりもさらに手厚い保護がされていることが分かりますよね。

 

 

本当は上で紹介している制限行為能力者の残りである被保佐人と被補助人についても纏めたいのですが、あまりにも記事が長くなってしまいますのでこの記事はこの辺りで終わりにします。

 

次の記事で続きを欠こうと思いますのでよかったら読んでくださるとうれしいです。

 

 

参考文献

平野裕之「コア・テキスト民法民法総則(第2版)」新世社、2011年